2019-05-17 浅田次郎『流人道中記』309から <この荒涼とした、まるで芝居の書割りのような嘘くささはどうしたことだろう。夢の中の風景のようであり… そして気付いたのだ。この曠野(あれの) を宰領しているのは、「死」だと。… 「しばらく、おのおのがた、しばらく」… 「この有様を、しかとご覧(ろう)じろ」> 浅田次郎の「流人道中記」、ついに純真無垢のまま死を迎えた亀吉の姿が示された場面。 仙台七北田、荒涼たる風景の永劫回帰のような描写と、亀吉の死を目の前にした阿部勘之丞の、精神が高揚して発せられた科白!